何しろ、Eテレである。 普段、Eテレはほとんど見ない。地上波以外でよく見るのは、NHK BS1やBSプレミアムであって、テレビでお勉強はしません(笑)。 特に好きなのは『街角ピアノ』である。ヨーロッパの空港や鉄道駅などで、素人の腕自慢が行きずりにピアノで遊ぶ、その風景が素敵である。あちらは男性が多い。 日本の街でも最近は男性の趣味ピアノが多くなってきた。 今回の『Nコン』は90回の記念大会なので、連休の午後、べったり3日間『Nコン』に付き合った。足腰が座り過ぎて痛くなったほどの長時間だった。 夕方の5時ごろまで、集中して見聞きしたので疲れ果てた。 Eテレの視聴率はおそらくコンマ数パーセントであろうが、視聴態度の熱心さにおいて、密密の鑑。必死で聴いたのである。みんな上手かった。 流石はブロック大会などで金賞を取って上がってきた人たちである。 筆者は音楽好きなので、昔はよくこの番組を見ていた。 子供たちが長い苦しい練習をして、その成果を競う。混じりけのない悦楽があった。 しかし、75回大会で、中学校の部の課題曲に、シンガーソングライターのアンジェラ・アキさんの作品が使われた時、筆者はゲンナリして、以後、見ることを止めたのである。 誤解しないでもらいたいが、アンジェラ・アキさんの作品が悪いと言っているのではない。 正統派のコンクールまで、若者に媚びて、軟派に擦り寄る。その下心が見え見えで、見たくなくなったのである。 つまり、今回は90回の記念大会なので、15年の空白の後、本当に久しぶりで視聴したのであった。 令和の子どもたちが可愛らしかった。特に、8日の小学校の部で演奏した子供たちは、「これが小学生か?」と驚くほど発育のいい大きな子供もいて、「日本人は栄養がいいなあ」と感心した。 今からウン十年前、筆者も高校時代にこのコンクールに出たことがあった。 浦和高校から転勤していらした音楽の女先生が熱心な方で、応募したが、今でいうブロック大会でトップを取れなかった。 その音楽の先生が、「鼻濁音」が出来ていないと何度も注意をなさって、その時に初めて筆者は日本語の歌における鼻濁音の大切さを学んだ。 一度書いたが、今はぐじゃぐじゃで、音楽大学出身の歌い手でも鼻濁音の何たるかを知らない奴がいる。軟派では、由紀さおりさん、石川さゆりさんたちしか鼻濁音の何たるかを知らない。NHKのディレクターたちがもっと厳しく指導すればいいと思うが。 彼らも知らなかったりして・・・。 7日の高校の部では、筆者の審査と会場での審査結果が全く違った。 生放送のテレビ画面と、会場での演奏結果が違っているのは仕方がない。マイクの音どりによっては、微妙なところが聴き分けられない。 高校の部の審査結果。 金賞。つまり、第1位は豊島岡女子学園高等学校(関東甲信越ブロック) 銀賞。第2位は福島県立郡山高等学校(東北ブロック) 銅賞。第3位は福島県立会津高等学校(東北ブロック) 銅賞。もう1つの第3位は清泉女子学院高等学校(関東甲信越ブロック) 豊島岡女子学園の名前は、門外漢の筆者でもよく聞く常連校である。よけいなことを書くと、敢えて名前は言わないが、銅賞の発表の時に、受賞したらしい学校の生徒が、ドアップのカメラに写っていた。 受賞なのだから喜んでいるかと思ったら、ある女の子が、実に嫌そうな顔をしていたのだ。 つまり、勘繰れば自分の学校の成績は金か銀と期待していたのに、銅賞で呼ばれたのでプンプンしていたのかもしれない。カメラは恐ろしい。 そういえば、「わあーっ」と歓声が上がるのは押しなべて金賞だけ。 筆者など、全国大会でどれかの賞を取れれば大喜びだと思うが、今の若者は貪欲なのかドライなのか、感情の表出がストレートである。 高校の部の課題曲は作詞がお笑いの劇団ひとりさんの『鳥よ空へ』、作曲は信長貴富さん。 小学校の部の審査結果。8日。 金賞。つまり、第1位は目黒区立東山小学校(関東甲信越ブロック) 銀賞。第2位は北上市立黒沢尻北小学校(東北ブロック) 銅賞。第3位は港区立白金小学校(関東甲信越ブロック) 銅賞。もう1つの第3位は岡崎市立六名小学校(東海北陸ブロック) 小学校の部の課題曲は『緑の虎』。作詞・廣嶋玲子さんと作曲・村松崇継さん。 中学校の部の審査結果。9日。 金賞。つまり、第1位は大妻中野中学校(関東甲信越ブロック)。おお、わが中野区民だ。 銀賞。第2位は国府台女子学院中学部(関東甲信越ブロック) 銅賞。第3位は郡山市立郡山第一中学校(東北ブロック) 銅賞。もう1つの第3位は頌栄女子学院中学校(関東甲信越ブロック) 中学校の部の課題曲は『Chessboard』。Official髭男dismが作詞、作曲した。ああ、やっぱり軟派だ。 司会者はNHKの男女アナウンサーとタレントの上白石萌歌さん。この萌歌ちゃんがものすごく上手かった。発音も明瞭、実に頭のいい捌きぶりで、しかも品があつた「あっぱれ」。 (2023.10.10.)。 (無断転載禁止)