「時代の流行を映す、パリ・オリンピック日本人選手たちのユニークな名前は、競技と共に楽しく珍しい(敬称略)」

 今回のパリ・オリンピックの日本人選手は全競技で409人にのぼる。
 開会式の行進で、セーヌ川を長い長いバトームーシュに乗った日の丸選手団たちは、大国の風格を感じさせてなかなか良かった。
 次々にメダルラッシュが報道されている中で、筆者が関心を持ったのは、日本人選手たちの氏名についてである。
 漢字はそれ自体で意味を持つ。
 昔話から取られたであろう〇〇太郎さんは、間違いなく強くて優しい桃太郎や、金太郎にあやかっていると考えられるし、〇〇大さんには、末広がりの雄大な男らしさが感じられる。
 時代によって漢字の日本人名前はさまざまに変化してきた。
 若い人にはわからないだろうが、NHKが放送するラジオやテレビのドラマにおける主人公たちの名前が、子供の名前付けに影響を及ぼした時代があった。
 大ヒット・ラジオドラマの『君の名は』――後の劇画の『君の名は。』ではないーーは昭和20年代に2年間放送されて、映画にもなった。
 主人公の名前は後宮春樹と氏家真知子で、この頃、春樹と真知子に名付けられた人が多く出たのである。わが親戚にも眞智子(まちこ)さんがいる。
 近頃の流行で筆者が感じるのは、横文字名前に漢字を宛てるはやり。
 日本語でも違和感がなくて、音読みすれば、即、英語名前としても通じる、はやり。
 例えば、『あん』、ANでもANNEでも、あちらの女の子名前にある。
 さて、前置きはこのぐらいにして。
 女子選手に多い名前で特に目立つもの。
 
<3文字名前>  
 福島史帆実・・・ふくしま・しほみ・・・フェンシング選手
 樺沢和佳奈・・・かばさわ・わかな・・・長距離走選手
 青木玲緒樹・・・あおき・れおな・・・水泳選手
 山下杏也加・・・やました・あやか・・・サッカー選手
 内海春菜子・・・うつみ・はなこ・・・ラグビー選手
 山下美夢有・・・やました・みゆう・・・ゴルフ選手
 小島満菜美・・・こじま・まなみ・・・バレーボール選手
 井上愛里沙・・・いのうえ・ありさ・・・バレーボール選手
 古賀紗理那・・・こが・さりな・・・バレーボール選手
 山田二千華・・・やまだ・にちか・・・バレーボール選手
 林穂之香・・・はやし・ほのか・・・サッカー選手
 秦澄美鈴・・・はた・すみれ・・・陸上跳躍選手
 永原和可那・・・ながはら・わかな・・・バドミントン選手 などなど。
 
 沢山いるうー。
 このような音に漢字を当てはめるものは、大体読める。多分名付け親が有名になれ、と願って付けたのであろうが、オリンピック選手だから、まんまと成功したのである。

<丸っきり読めなくて、最初からバンザイしたくなる名前。あるいは音が先にあって、漢字を当てはめたもの>
 
 赤間凛音・・・あかま・りず・・・スケートボード・ストリート選手
 小野寺吟雲・・・おのでら・ぎんう・・・スケートボード・ストリート選手
 藤田譲瑠チマ・・・ふじた・じょえるちま・・・サッカー選手
 佐藤恵允・・・さとう・けいん・・・サッカー選手
 森花音・・・もり・かのん・・・ホッケー選手
 鵜沢飛羽・・・うざわ・とわ・・・陸上選手
 町田瑠唯・・・まちだ・るい・・・バスケットボール選手
 宮脇花綸・・・みやわき・かりん・・・フェンシング選手
 
 前の2人はメダルを獲ったので一躍有名になり、吟雲ちゃんなんか、「ギンちゃんと呼んでくれ」と早速PRしている。若いのに抜け目がない。
 怒られるかもしれないけれど、筆者にはスケボーやブレイキンなどは、オリンピック競技というよりは、子供ちゃんのお遊びみたいに見えて仕方がない。頭を使うよりは、視覚的に華やかなので採用されたのであろうか。
 大人が団体で組織的にやる、野球やソフトボールが外されたのは、おかしい。団体のルールよりも個人でできる競技が若者に受けるので、採用されたのではないかと邪推したくなる。ごめん。

 他に目立つのは、やっぱりカタカナ名前である。ご両親のどちらかが外国の方で、そちらの名前を名乗っている場合は全部がカタカナになる。
 サニブラウン・アブデル・ハキームが最も有名だ。
 紙幅がなくなってきた。
 開始早々、喜びや悲しみ、ドラマティックな画面が次々に溢れ出る。
 オリンピックはやっぱり面白い。
 無観客の東京オリンピックがどんなにつまらなかったか、会場の「詩コール」で思い知った。連日、寝不足になるが毎日が楽しい(2024.7.29.)。

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