ご自分の国で、コブシを振り上げ、唇を尖らせて主張している報道ばかり見ていると、「トランプさんは何で2期にもわたって大統領に選ばれたんだろう」と不思議に思えていたが、今回、生身のトランプさんを見て、「なるほど」と思った。
金髪、長身、無地の赤ネクタイ、のトランプさんは、ちょっとした立ち居振る舞いで、人品骨柄あまり品のいいインテリだとは思えなかったのだが、間違っていた。
主張するところばかり切り取られた映像ではわからなかったのだが、べつたり映されてみると、その人の地が出る。
彼は、流石の大金持ち、「金持ち喧嘩せず」の通り、何となく品がいい。
見直した。
悠々としていて、「まあ、言わしておけ」という風だ。「セコイ」感じがない。
ブッシュさん(息子さんの方)は、何となくセコイ感じがしたし、有名俳優だったレーガンさんもセコかった。
カメラはどんなに着飾っても、その人の地を映すので恐ろしい。
今回は皇居で天皇に表敬でお会いするからか、いつもの赤ネクタイではなくて、金色の無地ネクタイをしていらした。
筆者はこの日、かぶりついてテレビ生中継を見た。
トランプさんが、VC-25A『エアフォース・ワン』で羽田沖に現れた時から、NHK総合テレビの中継を見た。実にスムーズな撮影だった。
盛んに中継アナウンサーが、安全のために同じ飛行機が2機飛んでくる、という。
羽田に着いて、『エアフォース・ワン』からトランプさんが降りてきて、右の方にスタスタと歩き出す。
筆者は「丸腰だ! 狙われないの?」と、余計なことを考える。
大統領は専用ヘリコプターのシコルスキーVH-3D『マリーンワン』に乗り換えて、またまた2機で、今度は都心の米軍ヘリポートに向けて飛び立つ。
約30分かかる。
このヘリの移動の撮影が凄くうまくて感心したのである。
夕闇迫る大東京の都心の上を、ほぼほぼ並んで飛行するヘリコプターを少し俯瞰の角度でピッタリ撮影し続けるとは、ものすごい技術である。
プロではないので、よくわからないが、撮影しているこちら側のカメラは、同じようにヘリコプターで並走しながら写しているのか?
2機の『マリーンワン』が同じ感覚で高いビル群の上を飛ぶ。
見ているこっちはちょっとハラハラする。
あまり高くを飛んでいるように見えないので、「ビルにぶつかるなよ」と余計な心配をしてしまった。グラウンド・ゼロを思い出した。
都心の米軍ヘリポートに着陸した時は、カメラが向う側を写せないので、トランプさんが
大統領専用車『ビースト』に乗り移る時は見えなかった。
『ビースト』は爆弾が飛んできても潰れないそうである。
ガラス窓も物凄い分厚さであるとか。ひえーっ。
それから、皇居に向けて20台を超える車列が出発した。
中央高速道路が通行規制で車ナシだ。
昔々、この中央高速上で、首相の車ですれ違ったことがあった。
先方は羽田に向かい、筆者の車は帰宅途中だった。
対向車が来ないなあと思った瞬間、パトカーが先導し、次に黒いセダンの両窓に黒服のSPが複数ぶら下がったままで通った。森総理が乗っているのだった。
さて、初の女性総理になった高市早苗さんは奈良のご出身だそうである。
「何で奈良なの?」と言いたいくらい、筆者の周りに奈良関係の人が多い。
そもそも、1度書いたように、奈良の二月堂のお水取りを観に行った時に、あの東日本大震災が勃発し、留守宅がぐちゃぐちゃになったこと。
親しい女友達が奈良出身であること、仲良しの従姉妹の長男が奈良の有名病院のお医者様であること、身内の女性が奈良女高師卒、と、やたら奈良づいている。
筆者は修学旅行で子供の頃に若草山に登ったことがあるが、それぐらいだ。
高市さんは不思議な方である。
相手がアメリカの大統領でも、少しも物おじしない、ケロケロしている。
そもそも、圧倒的に女性の数が少ないわが国の政治の世界にあって、グループのボスであるのも不思議だった。
筆者は筋金入りの安保世代ではあったが、近頃は関心が薄れたので、右でも左でもないので、高市さんにも無関心だった。
時代が変わったと思う。
天下のアメリカ大統領と同じヘリコプターに乗ってもケロケロしている。
しかも、わりに自然体である。
驚くべき心臓の強さ(?)と言うべきか。
松下政経塾の洗脳の凄さ(!)と言うべきか。
経済がいささか左前のわが国にあって、珍しい女総理とは、天の配剤かもしれない。
1点を除いて。
それは、二言目には「安倍晋三さん」が出てくることだ。
長期にわたった安倍さんの時代は、筆者にとってはノーサンキューの時代であったから。
高市早苗さん、相手がトランプさんであろうが習近平さんであろうが、今のままのケロケロスタイルで行きましょう。何しろ支持率70%だもんね。
怖いものナシだよ。(2025.10.30)。
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