『ミラノ コルティナ オリンピック 2026』のテレビ放送を見ていたら、つくづく時代が変わったと感じた。その象徴的な場面は、音楽についてである。
大変盛り上がったフィギュアスケート、女子シングルの演技についてだが。
まだまだ可愛らしい子供ちゃんの雰囲気の、初出場で17歳の高校生・中井亜美さん。
彼女はショート1位から、フリーで3位になって、銅メダルをゲットした。
大人顔負けの堂々たる心臓ぶりを見せたショート部門の伴奏曲について、筆者はちょいと意見を言いたいのである。
2回ともトリプルアクセルを成功させた亜美ちゃんが選んだショート伴奏曲は、映画の『ラ・ストラーダ』の音楽であった。
筆者の世代なら、1小節聴いただけで、「あ、あれだ!」とわかるくらいの超有名曲『道』の劇伴である。
『道』は1957年(公開)1954年(制作)に作られたイタリア映画で、かの巨匠、フェデリコ・フェリーニさんの監督、脚本である傑作映画である。フェリーニさんは言わずもがな、『甘い生活』『戦火のかなた(脚本)』『無防備都市(脚色)』など、この頃、世界的ヒット映画を制作した大監督である。
奥様が『道』に出てきた白痴の哀れな小おんな・ジェルソミーナを演じているジュリエッタ・マシーナさんだ。
ジェルソミーナは粗野な大道芸人に拾われてコキ使われ、最後は亡くなる可哀想な女で、ニーノ・ロータ作曲の劇伴が、物凄く印象的だった。
これぞ、今回の亜美ちゃんのショート伴奏曲である。
近頃のフィギュア競技は昔と違い、「なんだ、こりゃ」と言いたいような軟派のボーカル曲が多くて、クラシックの堂々たる名曲が使われなくなった。
伊藤みどりさんがトップスケーターの頃は、ラフマニノフ作曲、ピアノ協奏曲第2番など、曲自体で感動を与える作品が多かったのに、今は様変わり。
特にあちらでの流行ボーカル曲を、継ぎはぎして使った場合、全く音楽の力がナシになる。
それと、今回筆者が中継を見ていたら、どうもアナウンサーが『道』を知らなかったらしいのだ。
1950年代の大ヒット映画を知らなくても仕方ないが、少なくとも、中継を担う司会者だったら、事前に使われる音楽の情報ぐらい、ちゃんと調べておくべきである。
フィギュア競技は踊っているアスリートの肉体と、表現力という伴奏音楽との親和性も大いに採点に影響するのだ。運動と芸術の両刀だからこそ素晴らしい。
中継アナが、事前に伴奏音楽の知識を仕入れておくのは当然の義務ではなかろうか。
わけのわからない地域の音楽というわけでもないのだから。
さて、今回テレビ中継の視聴漬けを味わってみて、昔と大いに違ったと感慨深かったのは、競技種目の変化だ。長野オリンピック(1998年)から正式種目になったスノーボードは、今回、やたらと日本人がメダルを取った。
選手には申し訳ないが、上位の方に日本人が多くて、ちょっと心配になったくらい。
門外漢には難しいが、筆者でも知っているのは、スノーボード ハーフパイプで金メダル(2022年、北京)をとり、一躍有名人になられた平野歩夢さんである。
今回はお怪我をしていて7位だったが。
北京の時は「金メダル!」と放送で聞いても、「何じゃ、それ」ぐらいの関心しかなかったのだ。スノーボードに関して、素人のわれわれには。
ところが、今回は「日本の得意芸!」とか言って、映像に噛り付いている。
大昔からのスキーの王道とも言える滑降とか大回転とかの競技に比べて、新興種目に対するスキー先進国の人たちの、偏見などはないのだろうか、聞いてみたい。
断っておくが、筆者は日本人として、メダルゲットは大いに喜んでいるのである。
しかし、大昔の東洋人差別を記憶している人間としては、心配になる。
今の若者たちの、スポーツにおいても大国になった日本に生まれ育った人たちには、恐らく想像もつかない差別は、われわれ旧世代の底流には残っているのである。
若者たちよ、吹っ飛ばしておくれ。
しかし、彼らの映像を見ていると、同じ種目の青年たちは、仲良く抱き合って偏見がないようだ。つくづく時代は変わったと思う。
顔を見なくても仲良くなれるツール、SNSで交信しまくる年代の人たちが、「ナニナニ国の人」という意識が無くなっているのかもしれないね。
お終いに、筆者が大いに嘆いていることを書く。
カーリングの不調である。
最終戦では中国に勝ったけれど、期待して見始めた最初の頃は負けてばかり。
はっきり言って頭に来た!
美しい藤澤五月さんのいるロコ・ソラーレに出てもらいたかった。
カーリングの選手たちには美人が多い。
みんな垢抜けているから、筆者は大好きであったのに、今回のフォルティウスは負けてばかりで見る気がしなかった。
筆者はド素人で、カーリングの極意など全く分からないが、東京人から見ると、カーリングは「北国のスポーツ」ともいうべき、得も言われぬ異国情緒が感じられて、大いに毎回期待するのである。
今回の様にボロ負け続きだと、心底、親友に裏切られたような寂しさである。
ま、選手たちは頑張ったのだろう。
次のオリンピックには、もっと強いチームが出て欲しい。
4年後なんて、自分は生きているかしら。笑(2026.2.20.)。
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