「1980年代から、筆者のコラムに挿絵を描いてくださった、漫画家の所ゆきよし先生の遺作展に行ってきた」

 昨年、漫画家の所ゆきよしさんがお亡くなりになった。
 76歳だった。若すぎる。
 所さんは筆者が週刊誌に連載していたコラムにカットを、9年間も描いてくださった。
 コラムが終了してからも、単行本の挿絵をお願いし、独特の色気のある似顔絵を描いて下さり、長く長くお世話になった。
 いつもニコニコしていて、彼の笑顔以外は見たことがなかった。よほど可愛がられてお育ちになったのだろうと思う。
 彼は政治漫画を毎日新聞紙上に38年間も連載なさった。
 昨年、毎日新聞紙上で彼の訃報を読んだ時、筆者はびっくり仰天した。
 まだお若かったし、ご病気とは知らなかったのである。
 そういえば、数十年前、「1日に〇歩しか歩かないので、これはまずいと思っています」とご本人から伺ったことがある。
 つまり、1日中、仕事デスクの前に座りっぱなしで漫画や挿絵を描いていて、運動する暇がない。政治漫画となれば、刻々と変化するニュースに合わせて斬らなければいけないので、デスクの前から離れられない、自分の運動などは後回しであるということなのだ。
 過酷な仕事である。
 政治漫画での先達、加藤芳郎さんのお宅に伺った時(毎日新聞記者だった亡夫と結婚後に、式にいらして下さったお礼で)も同様だった。
 加藤さんのお宅もでんぐり返しの中から、お仕事中の先生に代わって奥様が出ていらして、立ち話しかできなかったのだ。
 所さんの奥様からお聞きしたところでは、所さんは胃癌でお亡くなりになったのだが、検査した時には既にステージ4だったという。
 お辛かっただろう、まだ若かったのに。
 亡くなられたご命日の9月16日の丁度1年後、今年の16日から本日・21日まで、銀座で遺作展が開かれたので、初日に伺ってきた。
 筆者も大怪我以来、足元不如意なのだが、かつてはOLで銀座をハイヒールで闊歩していたので、「勝手知ったる銀座」とばかり、スタスタと出かけたのだ。
 中央区役所ビルの傍で、『所ゆきよし遺作MANGA展』が開かれていた。
 びっしりと彼の遺作が展示されてあった。
 久しぶりに奥様とお会いした。
 かつて、帝国ホテルのレストランで、所ご夫妻と亡夫と筆者の4人で楽しいお食事会をもって以来である。
 亡くなる前に、仕事のデスクの近くにベッドを置いて、政治漫画を描き続けられたと伺い、ご職業とはいえ大変だったろうと悲しかった。
 筆者がコラム連載中にデスクであった新潮社の某氏が、今は出世なさってまだご健在であるが、彼が所ゆきよしさんのお自宅に「お線香を上げに」こられたそうである。
 いかにも、作家や画家を大切にする出版社らしいと思ったのである。
 亡夫の葬儀にも豪華なお花を贈ってくださったのを思い出す。
 心から、ご冥福をお祈りいたします。所さん。

 さて、政治漫画の所ゆきよしさんに、似顔絵をずらりと描いてもらいたいといつも思っている自民党総裁選の9人の立候補者たち。
 筆者は政治的信条では右でも左でもないから、応援演説をする気は全くないが、裏金隠しがバレたおかげで、何が1番よかったかという事を述べたい。
 選挙区の議員でもなければ、今までは全くと言っていいほど発言を聞けなかったのに、少なくとも9人の立候補者たちが、毎日あちこちで喋りまくっているのが面白い。
 演説会での感想の第1は、小泉進次郎さんにがっかりしたこと。
 議員さんのクセにたった10分の演説で、下のカンペばっかり見てた。
 外国の政治家はカンペなんか全く見ないぞ。
 若いのに暗記も出来ないの?
 彼のお父様の小泉純一郎さんの方が上だ。
 大分前の話であるが、週刊朝日に連載していらした山藤章二さんが、満25周年を迎えられた時、お祝いのパーティーがあって、筆者も招待された。
 時の総理大臣は小泉純ちゃんで、山藤さんがお描きになった風刺画は、真っ赤な四角いポストに縮れっ毛が生えている。小泉純ちゃんのロングヘア―の揶揄であった。
 「郵政民営化!」と叫んだ純ちゃんの方が進次郎さんよりずっと面白かった。
 筆者ががっかりしているのは女性候補者の2人。
 高市早苗さんは実力者なのだろうが、厚化粧が暑苦しいし、陰気臭い。
 喋る時の目付きが、ニコニコ笑顔なのに陰険そうで引いてしまう。この方が総理大臣になって外国の要人と話している場面は想像したくない。ハリスさんの明るさと比較してご覧。
 もう1人の上川陽子さんは、大秀才らしいが、お声が子供ちゃんみたいに可愛らしいので違和感がある。この方もファンデーションの厚塗りが気になる。
 立会演説では、大所高所からの話題を語った石破茂さんの内容が1番よかった。
 若くて背の高い小林鷹之さんは、外国要人と並んでも見栄えがいいと思うが、はて、実力はどうだろうか。
 立憲民主党の候補者を語る余地がなくなってしまった。ごめん。
 派閥がなくなったといっても、筆者はマユツバである。
 元親分たちが指令を出しているのではないのか。
 国民を裏切ったら、日本国はますます没落すること請け合いだ。(2024.9.21)。
                                        (無断転載禁止)
 

毎日新聞に掲載された所さんの最後の作品