「映像による中国取材の白眉、『巨大ゴーストタウン』は面白かった。よくぞ当局に逮捕されなかったものである」


 世界1のお喋り男、どことなくユーモラスなアメリカ大統領のD.トランプさんが、中国を訪問なさるというので、世界中のメディアがトランプ風に吹かれている。
 日本のメディアも同様である。
 5月13日にお出かけらしい。
 その一環でもないだろうが、近頃、中国取材のドキュメントが目立つ。
 中でも白眉だったのは『巨大ゴーストタウン』(日本テレビ)である。
 これは日本テレビの『追跡取材news LOG』の5月9日号の中の、1テーマである。
 『追跡取材news LOG』(日本テレビ)については、4月25日の初回について書いたが、2回目のボクサーの取材は、関心のない筆者には苦痛の時間だったのでパスした。
 ところが、第3回の3番目のテーマがことのほか面白かった。
 日本テレビのベテラン記者・柳沢高志さんが、カメラを連れて取材している。
 彼は香港駐在員でもあったようで、恐らく、中国語がペラペラなのだろう。
 取材態度が自信に満ちている。
 世に言われている中国の不動産不況についての実体取材である。
 広大な平地に巨大な超高層のマンションが立ち並んでいる。
 近づいてみると、あまり人が住んでいない。
 人の気配がない。
 超高層の高級マンションが立ち並んでいるが、すべて未完成のままで工事がストップ。
 288の部屋が、差し押さえられている。
 鉄の扉や玄関に、差し押さえの紙が貼られているのを、わずかに住んでいる人が、外出から戻ってきて剥して怒っている。
 例えば、登場した50代の女性は、独身らしく、猫4匹と暮らしている。
 銀行から2.000万円借金して、このマンションを買ったはいいが、コロナが始まってどうすることも出来なかった。
 彼女は飲食関係の店を開いたが、不況になって閉店。
 そして今日、外出から帰ってくると、差し押さえの紙が貼られていて、競売にするぞという内容である。
 「私にはもうこのマンションしか残っていないのに、売れというの?」
 彼女は今、月給わずか6万円しかなくて、マンションを売ると、6万円では賃貸も借りられないと怒っている。
 こういう差し押さえられている人が何万人にもなるのだ。
 恒大集団が4,500億円以上かけて8年前に開発開始したマンション群は、去年、約50兆円の負債を抱えて<上場廃止>。ボロボロのままストップ。
 ショッピングエリアは 何もありません。
 廃墟にニワトリが20羽ついばんでいる。
 高層マンションの1部完成したところに住んでいる人は、ガスが使えなくて不便だし、野菜が買えないと嘆いている。
 投資のために買ったが、今は仕方なく住んでいるとか。
 ディズニーの名前で売り出したので、当時は人気があったが、62平米で1,000万円だったのが、今は16万5000元(日本円でたつたの380万円)でしか売れないそうだ。
 つまり、世紀の大暴落!
 だから、95%は空き家なのである。
 筆者はこのドキュメントを見ながら感じた。
 「はて、中国って国は、共産党政権独裁じゃなかったかしら?
  なんか、資本主義の国みたいな話ばっかりね」と。
 パレードの真ん中の、高級車に立って乗っていた習近平さんも頭が痛い。
 ところで、この取材がよくできたわね、と、かつて、毛沢東さんや周恩来さんの時代を知っている筆者は、「中国も改革開放だ」と驚いて見ていたが。
 どっこい!
 やはり、柳沢記者は白い車や黒い車に監視されていたのである。
 記者の車にぴったりくっついて、公安の中国車が付けてきたのだ。
 逮捕されなかったのは、恐らく取材側が複数の人数だったからだろう。
 彼ら中国の人たちも、自分たちの恥部があるのをわかっているのだ。
 金儲けに関しては資本主義、思想的には共産党の独裁国家。
 いやはや。
 もう随分前だが、筆者はかつて香港で楽しく遊んだが、マイレージが溜まって、上海へ行こうとして、羽田のモノレールの中で転倒し、大怪我して渡航をキャンセルしたことがある。
 全く残念なことをした。
 あの頃の中国を、リアルで見ておきたかった。
 中国本土は、トランジットでヨーロッパから帰る時に、北京の空港に降りたことがあるだけだ。
 職員がニコリともせずに超愛想が悪かった。
 大国のアメリカ大統領が、大国の中国に行って、表向きではないところで何を話すのであろうか。
 表向きではイランの話をすることになっているが、それだけではあるまい。
 一種のポーカーフェイスの習近平さんが、アッケラカンのトランプさんより何枚も上だったりして。
 わが女性総理大臣も頑張って下さいよ。
 寝首かかれないように。(2026.5.11.)。
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