「さっぱり面白くない『風、薫る』(NHK総合・テレビ小説)、これでは5月だというのに『風、薫らない』である」

 主人公2人に魅力がない。
 役柄に共感できないのは、脚本がつまらないから。
 一ノ瀬りん(見上愛)は演技が下手くそな上に、エロキューションが悪いので、何を言っているのかわからない時がある。
 その上に栃木弁ときた。
 筆者は耳の検査で100点満点だったから、こっちの機能が悪いのではない。
 ディレクターやプロデューサーは、既に台本が頭に入っているので、少々聞こえが悪くてもわかるだろうが、視聴者は初めて聴くのだ。
 セリフのテロップを書いてもらいたいくらい(笑)。
 勿論、冗談である。
 栃木弁まじりで、主人公のセリフがボソボソしていると、興ざめである。
 河童みたいな りんちゃん は、ある意味、美人系と決まっていた朝ドラの主人公としてユニークで、最初、筆者は大いに期待したのである。
 期待は外れた。
 看護婦(この時代は看護師などとは言わなかった)見習いになって、これからは東京弁でクリアーに聞こえるかと期待したが、やっぱりボソボソ。
 もう1人の主人公、大家直美(上坂樹里)は既に書いた通り、典型的な美人系だ。
 大勢の応募者の中から選ばれた人らしいが、今のところ、過去が不幸せだったと思わせぶりに少し描かれるだけ。
 表情がふてくされていて、小意地が悪そうである。
 演出が下手くそなのだ。
 この方にも視聴者として共感できないのである。
 育ちが不幸せだったら、小意地が悪そうな女の子でいいのであるが、人間はそんなに単純ではないので、演出で奥行きを出して欲しいのである。
 しかりしこうして(笑)、主人公2人ともにイマイチなのだ。
 今の所、いちばん、おかしいと思って見ているのは、入院してきた侯爵夫人の和泉千佳子(仲間由紀恵)の描き方である。
 「おっ、大スターが出てきたぞ!」と身を乗り出して見ているのだが。
 乳癌で入院してきた貴族のお方らしく、わがままで着物も脱がない。
 丸髷(?)に豪華なお着物を着て座っているだけ。
 この着物の着方がおかしい。
 襟をぬいている。
 これでは芸者さんや中居さんみたい、「いいとこ」の女性は着物の襟は抜かないで、ぴったり立てて着なければ下品とされる。
 しかも、この時代に、いきなり、「乳癌」などと大きな声でホザクか?
 いくら病室でも、貴族の我儘で気位の高い女性に対して、礼儀知らずで思いやりがなさすぎる!
 また、いくら札束NHKとしても、乳癌の患者に大スターの仲間由紀恵さんを配するとは、贅沢、仲間さんがよく出演を承諾したものである。
 りんちゃんの誠意が通じて、侯爵夫人が軟化するらしいが、筆者が見た時までには突っ張っていた。
 さて、もう1つ最大の違和感がある。
 筆者はイケメン好きで、夫を含めて、親しい殿方たちは、皆、美男子揃い。
 だから、このドラマでも、背が高くて美男子の今井益男(古川雄大)を期待して見ているのだが、なんとも描き方が凡庸である。
 帝都医大の外科教授であるが、ドイツ返りのイケメンときているから、部下の医師をぞろぞろ連れて回診に来る場面で噴き出してしまう。
 何度かの大病で大病院に入院体験がある筆者の経験では、部下の医者を引き連れて回診に来る大先生は、こんなに威張っていない。
 お医者様は偉くなればなるほど、お歳も召すし、謙虚になる。
 マンガチックな「ドクターなんとか」の描き方は、わざと誇張しているのであって、本当のドクターたちは人様の命を預かる職業だから、自然と謙虚になるのだ。
 だけど、ドイツ帰りの若い今井先生、威張って歩いてもしょうがないか。
 まだ、若いからね。
 古川雄大くんは、舞台でよく見る。
 ミュージカルの『エリザベート』にも出ていた。
 背が高いから舞台映えする。
 時代劇より現代劇の方がいいから、期待している。

 さて、お終いに最近のテレビ事情から一言。
 殺伐とした恐ろしい事件が多い。テレビがしつこく映す。
 社会面記事の氾濫である。
 安全な美しい住宅街に住んでいるが、桜並木が続く裏通りを歩けなくなってしまった。
 何故なら、人通りの少ない昼間に、1人で散歩していて、前方に若い男性の姿が見えると、突然バッグをひったくられたり、押し倒されたりしたらどうしようと、とんでもないことばかり連想してしまう。
 事実、外国人差別ではないが、国籍不明の容貌の方たちが、つるんで歩いているのによく出会い、小柄な筆者はさらに小さくなる。
 兎に角、近頃の東京は変わった。何となく怖い(2026.5.21.)。
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