「今期の連続ドラマの中の目についた2本、『オールドルーキー』と『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』」

 あれれ、どちらもTBS作品だ。私は局の贔屓は全くしないのだが。
 それぞれの感想を書く前に、1つ余談をどうぞ。
 今期の連ドラの中で、『石子と羽男』と『競争の番人』(フジテレビ)の2作品の主人公の1人が【東大法学部の首席卒業】とある。
 テレビマンによる【東大法学部首席】の大安売りである!
 『石子と羽男』の石田硝子(有村架純)は東大法学部を首席で卒業したのに、司法試験に4回もおっこちて、弁護士になれずにパラリーガルをやっている設定だ。
 もう1つの『競争の番人』の公正取引委員会の審査官、小勝負勉は東大法学部首席卒業の上、20歳で司法試験に合格した天才だと。そんなに東大法学部首席卒業ブランドを安易に使わない方がいいと思うが。何故なら、年に1人しか出ないのだから大安売りは嘘っぽく見えるから。
 昨年弁護士業を引退したわがポン友のM氏は、それこそ20歳で司法試験に合格した秀才で、当時はまだそんな人が珍しかった。史上最年少で合格した天才として、新潮社のFOCUS誌に追いかけられ、グラビアにデカデカと掲載されたのである。
 しかし、彼はのんびり屋でちょっと風変わりな野郎、私が富士街道でスポーツカーを運転中、追突した時に、最初の打ち合わせに遅刻してやってきた。
 なんかひとこと言って、ちゃっかり5,000円を取って行っちゃっただけだった。
 弁護士なんか気楽な稼業だね、と言ったら怒られそうだが。
 
 さて、首席の話に戻ると。昔々の話であるが、例えば文学部の持ち回りの年であれば、文学部は専攻学科が沢山あるので総代選びが回ってくるのは何年かに1回だけである。
 駒場キャンパスから本郷キャンパスへの進学成績を良くするにはコツがあって、10年間も同じレジメで眠ったような講義だけするサボり教授のくせに、優は中々つけないという授業は選択しないとか。
 講義は物凄く面白いが、採点は超厳しい教授の教科は絶対に取らないとか。
 先輩からの評判を聞いておいて、甘い点の取りやすい選択科目を並べれば、優秀な点が取れる。専門科目になってもこうしたテクニックはあった。
 まあ、そこまでして成績に拘る奴は、むしろ友人たちの間でバカにされたものだ。
 東大の中を知らない人が「首席」を有難がるのは確かである。
 どうでもいい話ではある。
 今期のテレビドラマ『オールドルーキー』は、元日本代表にもなったスター選手の37歳・新町亮太郎(綾野剛)が、突然失職。サッカーに未練を残しながら、プロ選手のサポートをする会社に就職して、悪戦苦闘しながら第2の人生を歩む話である。
 第5話はマイナー競技のフェンシング選手のサポートばなしだった。
 顔は可愛くて選手としても将来有望な女性選手が、競技以外ではニコリともせず、CM会社のスタッフに降りられそうになる内容である。
 同僚の城(中川大志)が連れてきたフェンシングの選手に、試合をして1点でも自分が取れたら、こちらの条件を呑んでくれるかと注文を出したりして、四苦八苦する。
 新町は未練たらたらだったサッカーの入団テストにも落ちて(第4話)、いよいよサポート専門人間になるのだが、社長(反町隆史)以下、彼の引退試合を企画して、新町のために社員を動員、最後の試合を作ってやる。随分ヒマな会社であるナ(笑)。
 新町の妻が有名な元女子アナの果奈子(榮倉奈々)で、社長も彼女の大フアンだった。果奈子は新町を支える糟糠の妻として、自分は料理本の出版で金を稼ぎ、ひたすら夫を励ます。背中が寒くなるような優しい妻である。今時の嫁は、もっとシビアなんじゃないの?
 もう1本の『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』の方がずっと面白い。
 それもそのはず、プロデューサーと演出家の2人の女性は、過去に優れた連ドラを作ったスタッフたちである。
 主演はマチベンこと潮法律事務所の弁護士、羽根岡佳男(中村倫也)と、そこで働くパラリーガルの石田硝子(有村架純)の2人。
 この石田硝子が先述した東大法学部首席卒業なのに、司法試験4回不合格のパラリーガル女性である。私はパラリーガルという呼び名について疎かったのだが、さるやんごとなきお方のご主人がアメリカの司法試験に落第なさって以来、妙に週刊誌で「パラリーガル、パラリーガル」と聞くようになった。昔、日本語では何と呼んでいたのか。
 もう一方の羽根岡弁護士くんは大卒ではなくて高校卒。アメリカの大学に進学したのだが自主退学した変わり者。シャッターを押した写真映像のように記憶力が抜群という設定である。私は中村倫也くんが大好きで、この方のまったりした雰囲気が何とも心地いい。
 第4話は街中を走る電動キックボードが、歩行者に衝突して怪我をさせた事件である。
 被害者の方は加害者がケアもしないで轢き逃げしたと証言し、キックボードの女性は逮捕されて牢屋に入れられる。罪名は<救護義務違反>である。
 加害者には盲目の姉がいて、結局、その姉が不自由な体で目撃者探しを続け、最後は事件をバッチリと映した映像に行き当たるのだ。
 このドラマで1つ気になるのは、担当検事が羽根岡弁護士のおねえちゃん(MEGUMI)で、この人たちの父親が裁判官で、石田硝子の父親の潮綿郎(さだまさし)は事務所所長の弁護士。お前、その丸ごと司法官だらけの身内は、ちょっとやり過ぎだろ、と言いたくなる。
 私が評価するのは、全編ほとんど街中でのロケで、如何にもセットでございと感じるのは事務所の中ぐらい。リアリティがある。
 中村倫也くんも有村架純さんも、どこかズッコケ感があって、正にエンタメ・リーガル物語だ。さださんは弁護士に見えないけど。
 第5話以下も楽しみに見るつもりである。(2022.8.10.)
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