「ヴァチカンやカソリック教会内での聖職者の事件とタレント事務所社長の事件。どうしようもない人間の業というもの」

 9月7日のジャニーズ事務所経営者陣による記者会見については、新聞、テレビ、ネット、雑誌類とあらゆる媒体で取り上げられているので、今更、彼らの発言について述べるつもりはない。
 ほとんど4時間まるごとテレビで追った筆者からすると、既に見聞きしていた噂話や、1部媒体での記事などで、すべて見知った内容のように思えて論じる気が失せている。
 ただ、テレビカメラは怖いもので、登場した人物たちのちょっとした仕草で、発言内容とは異なる意味が読み取れる時がある。 
 そういう重箱の隅をつつく感想を述べたい。
 第1にジャニーズ事務所の4人が登場してきた時に気が付いたこと。
 藤島ジュリー景子氏は巨大な老眼鏡をかけて出てきて、恐縮気味に深々と頭を下げてはいるのだが、どこか、昂然と辺りを睥睨する動作が滲み出る。恐らく、会社の中で自分より偉い人はいないから当然だと、身に付いたビヘービアなのだろう。
 何百億円という会社の株を持っている大金持ちらしく、50代にしては手入れの行き届いた肌をしている。
 エステ通いに高級な化粧品、口紅は今流行の真っ赤だと不謹慎に思われるからと、薄めのピンクである。シミ1つない顔中、非の打ちどころがなくカメラのアップに堪えている。
 眼はパッチリと睫毛まで手入れが行き届く。
 隣りの東山紀之さんはタレントの中でもハンサムな方であるが、草臥れ果てた内心が顔に滲み出ていて、生気がない。質問の時に、彼自身のセクハラパワハラ疑惑を問われて、否定から、記憶があいまいに変化していった。
 でも、相当頭の良い人である。
 むしろ、滑舌の悪い顧問弁護士という木目田裕氏の方が、物足りなかった。金で雇われているから、どこか飼い犬風(失礼しました)。 
 ネットではジャニーズアイランド社長の井ノ原快彦さんの発言が高評価であるが、確かに自然体でひょうひょうとしている。
 しかし、筆者は物足りない。出直し会見のはずだが、4人全員がジャニーズ事務所のメンバーばかりで、どこが解体的出直しかと思う。
 大経済人を呼んできて社長に据えて、東山さんが内部事情を説明する補佐役にでもなるのかと思っていたら、全く予想が外れた。
 ずっと疑問に思っていたことは、昭和30年代から続いていたというジャニー喜多川氏の性加害について、どうして官憲が動かなかったのか。
 タレント不出場を危惧して、忖度まみれのメディアは別として、子供への性加害は立派な犯罪だろうに、何で警察は動かなかったのか誰か教えてほしい。
 これについては『ミヤネ屋』に出演していた筆者お気に入りの弁護士、亀井正貴さんも「立派な犯罪です」と言っていた。
 言葉は悪いが、ジャニー喜多川さんの子どもへの行為は、昔なら「ヘンタイ野郎」と言われる犯罪である。なにが大マネジャーだ。
 なぜ誰もこのことを指摘しないのだろうか。夜な夜な男の子のアソコを咥えに行く大の男の、どこが大会社の社長か!
 放置していたこの会社の偉いサンたちはみんな同罪である。
 同罪、同罪。知らなかったでは済まされない。
 さて、話は変わるが、2010年代に世界的に報道された性虐待事件を思い出す。
 今回、BBCの報道をきっかけに、世界的機関のメンバーが調査に来たのはムベなるかなである。世界では何十年も前から、ありえない組織の中での性虐待がニュースになっていた。
 カトリック教会や、事もあろうにヴァチカン内部で聖職者による性加害、性虐待が暴かれたことを記憶している。
 聖職者という抑圧された禁欲世界で、1つは司祭が身近にいる修道女を犯して、こともあろうに性奴隷にして飼っていた例。
 教会にくる少女に暴行して妊娠させ、それを中絶させたという例。
 ロリコン趣味はあちらでも蔓延していて、少年たちがやられたケースも多い。
 20年以上前に見たドキュメンタリーを思い出すのだが、地中海の断崖絶壁に建てられた美しい修道院に、両親によって預けられてしまった青年の話があった。
 一日中、祈りと奉仕の畑作業ばかりで、食事はわずかなナッツ類だけ。
 彼は還俗したいと撮影者たちに泣いて訴えるのだが、思いは叶わないのだ。
 こうした修道者たちが、抑圧された日常から逃げ出すために、身近にいる少年を性奴隷にするのは考えられることである。
 ヴァチカン内部の事件では、時の法皇様が苦しそうな表情でコメントなさったニュースも見た記憶がある。
 洋の東西、人間の業とは、と言いたくなる。
 お終いに、社名も変更しないで、しゃあしゃあとこれまで通り、彼のタレントさんたちは稼ぎまくるのであろうか。なんかおかしい。
 事務次官まで出世したキャスターをやっている青年の父親が、息子の収入が思ったより多いと述べていたことがある。たかが、テレビのニュースにレギュラーで顔を出しているだけで、事務次官経験者の父親が驚くほどの金を稼ぐ。
 どこかおかしいのだ。一方では真面目に修行してきた芸術家が食えないほど貧乏で、タレントと称する素人に毛の生えたような一派がのし歩く。
 大甘の日本の芸能界も、この事件をきっかけに、もっと厳しい実力世界に成長してもらいたい。法に触れるような行為を続けたボスの会社が、稼ぎ続けるのはどうかしている。
(2023.9.10.)。
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