「オフシーズンの野球見物、アジアチャンピオンシップの決勝戦と阪神タイガース」

 11月18日から、優勝した阪神タイガースの記念セールが、東京でも始まると聞いていたので、18日の朝っぱらから、新宿の京王百貨店に出かけたのであるが・・・。
 甘かった。甘かった。
 4Fのエスカレーターを降りたところで尋ねると、「そこを曲がってズーっと行ってください。整理券が要りますよ」と制服の女性が言う。
 整理券?
 そんなに人が来ているのか。
 ずんずん歩いて、言われた別のエスカレーター近くに行くと、背広を着た男性が5、6人も立っていて、「整理券です」と言いながら2枚が重なった紙きれをくれた 。
 『阪神タイガース 日本一記念グッズ 11月18日土 入場整理券16:30~17:00』と書いてあり、ずらずらずらっと注意事項が並んでいる。
 もう1枚は『お買物クーポン券 \200』というサービス券だ。
 11月30日まで通用する200円である。
 「なにこれ。16:30って」と尋ねると、今の方は4時半からの入場ですと!
 その時点で時刻はまだ午前中である。
  4時半までデパート内で過ごせということか。
 売り場の方を覗き見ると人影は多くないのに、ものすごく広い場所に、黄色と黒のタイガース色のTシャツやタオル類がズラーっと並んでいる。
 「何で今買えないの!」とプンプンしながら筆者は、結局、地下の食料品売り場で散財した挙句、トボトボと帰宅したのである。あーあ、足代をソンした。
 数日間は販売するらしいので、また行くか、諦めるか。
 別に熱狂的なトラキチでもないが、38年ぶりの日本1なら、冥途の土産に何か1つ記念品を買おうかと思ったのが運の尽きであった。
 わが家の物入れには、大昔に買った、脱臼で選手生命が奪われた天才バッターの浜中おさむ君のTシャツ(HAMANAKA)と、金本知憲さんのピンクのTシャツと、後はタオル類しか入っていないから、買いたいことは買いたいのである。
 大阪に住んでいる甥っ子が、当然タイガースフアンだと思っていたら、「あれは神戸なんです」と言って、甥っ子は全く阪神フアンではないので、東京人の筆者が、何故か負け続けたこのチームを好きになった、その心理は自分でも解明できないままである。
 というわけで、グッズ買いの顛末はまだ成功していない。
 さて、テレビからプロ野球が消えると、寂しい。
 巷は大リーグの大谷翔平さんのFA問題で持ち切りだが、筆者は余り興味がない。
 WBCの時は楽しんだが、やっぱり試合を見るのは「ベースボール」よりも「わがプロ野球」なのである。
 TBSの日曜劇場でも、タイミングよく『下克上球児』をやっているが、あまり面白くない。鈴木亮平さんがダメ高校の野球部の監督として指導していたが、何と、教員免許を持っていなかったという、あり得ない話で、白ける。
 19日の放映では、越山高校野球部が初めて1勝するシーンが描かれたが、全体に臨場感を出す意図なのか、人物の動きながらの音取りが悪いのと、発声に神経が行き届いていないので、出来の悪い昔のニュース映像みたいにセリフが聞き取りにくい。
 筆者は聴力検査で満点の性能だから、聞き取りにくいのは作品の出来が悪いのである。
 数々のヒット作を手掛けた女性コンビの作品であるが、今のところ評価は疑問符?
 それよりも、同じTBSで放送した『アジアチャンピオンシップ』の決勝戦が面白かった。
 WBCの熱狂とは裏腹に、あまり期待していなかった24歳以下の選手たちによる4チームの国際試合である。日本、韓国、台湾(チャイニーズタイペイ)、オーストラリア。
 監督が井端弘和さんだが、この方は小柄(173センチ?)なのに名選手であった。
 残念ながら、WBCの栗山さんに比べて、井端さんは雰囲気が暗いし、コメントを話されるときに、「えーっ」が多すぎる。「えーっ」「えーっ」は注意しておやめになった方がいい。
 3回の表で、エラーも絡んで韓国に2点先制されてしまう。
 裏の日本チームは4回まで無得点のまま、何となーく暗くて、筆者は「ヤバいぞ」と思っていた。6回の裏、あの、年増(失礼)のような雰囲気の牧秀悟さんが、変化球を1振り。
 ホームランで1点を取って東京ドームが一気に沸いた。若い観客でいっぱいだ。
 阪神タイガースも、この年増のようなデップリ太ったDeNA牧くんに、何度かやられた。私は彼のことをもっと年上かと思っていたが、25歳だって。オウム真理教事件の時には、まだこの世に生まれていないのだ。
  続く6回には、佐藤輝明さんの犠牲フライで1点、やっと韓国に追いついた。
 佐藤くんと森下翔太さんと、ピッチャーの桐敷拓馬くんと、タイガースの選手たちが大活躍したが、監督の采配で感心したことがあった。
 2対2のまま延長戦に入り、あの、嫌いなタイブレークがきた。いきなりの無死1,2塁。
 10回の表で韓国に1点を入れられて3対2である。
 その裏、やっぱり、日本も無死1、2塁だ。
 次の打者はホームランのある、わが森下翔太くんである。
 ところが、井端監督は3番の森下くんを退けて、代打を送った。
 「えっ」と筆者は思ったが、画面にうつる森下くんもちょっと苦笑いみたいな表情をした。
 代打は埼玉西武ライオンズの古賀悠斗くん。パ・リーグでは筆者はライオンズが好きだ。
 解説の誰かが言っていたが、古賀くんはバントの名手らしい。
 見事に一発でバントを決めて1アウト2、3塁になったのだ。もし森下くんのままだったら、ホームランかもしれないが、ゲッツウの可能性もあった。井端さん、あっぱれ。
 4対3で若き日本チームが優勝した!!!
 初陣監督の井端さんもおめでとうございました。(2023.11.20.)。
                                              (無断転載禁止)