「オリンピック閉幕。侍ジャパンとソフトボールの上野由岐子に釘付け」

  8月8日の閉会式はつまらなかった。日本には世界に類を見ない素晴らしい伝統芸能があるのに、子供の遊びや素人っぽいパフォーマンスで終始して、全く面白くなかった。
  特に感じたのはこんなに遅い時間、子供たちに働かせていいのだろうかということ。子供は午後8時までではなかったのか?
  最初の整列した宝塚(タカラジェンヌ)の歌唱と、ソプラニスタ、岡本知高のソロはよかったが、なんで歌の下手な大竹しのぶがこんなステージにしゃしゃり出てくるのか。彼女はエディット・ピアフに扮したりして、このところミュージカルにも多く出演しているが、基本的に歌が上手くない。音程も発声もよくないし大体魅力のない歌唱である。
  彼女は演技派のトップ女優なのだから、ミュージカルはごめんだ。世界に恥ずかしかった。
  小池百合子都知事の着物姿はよかったし、パリ中継のトリコロール航空隊も圧巻だった。コロナ禍にもかかわらず、あんなに人たちが密集して大丈夫なのか?
 私はてっきり過去の録画かと思ったが、あれは生中継だったそうで、びっくりした。
 文句ついでにもう1つ。選ばれたアスリートたちには申し訳ないが、競技種目に違和感がある。まず、新競技のスケートボード、サーフィン、スポーツクライミングなどは、私には遊びに見える。スケートボードのストリートなど、まさに街中での子供の遊びである。
  一方、大人数で、頭もフル回転せねばならない野球やソフトボールが、今回で外されるのはもってのほかである。参加国が少ないのが理由らしいが、長い伝統があるメンタルゲームを外してどうするのだ。
 野球大国のアメリカが加わっているのに、なぜ押し切られてしまったのか不思議だ。
 今回のオリンピックでも、私が完視聴したのは野球とソフトボールだけだった。どちらも日本が金メダルを取ったから言うのではなく、つくづく「見るスポーツ」として良く出来ているスポーツゲームだと思ったのである。
  というのは、肉体的に迫力があるというだけではなく、非常に程度の高いメンタルゲームである。だから、団結力や一体感の守りやすい日本人には向いている。
  それで思い出したが、相当な昔、ヨーロッパに野球を広めようと、元阪神球団の吉田監督が派遣された。しかし、あまり成功したとは言えなかったと聞く。
  例えば、「バント」について。
  あちらの人はバントについて、「人のために何で自分が犠牲にならなくちゃいけないのだ」と言って総スカンなのだ。チームのために自己を犠牲にしてでもランナーを次のベースに進める意義がわからない。あちらの方たちは「他者のために自分を犠牲にする」などとんでもない、ゴメン被るというのだ。
  超個人主義のフランス国などは当然だろう。
  
  さて、最初に行われたソフトボールである。
  まず、あの、上野由岐子さんが、まだピッチャーをやっていたことに驚いた。13年前に大活躍した時にも、割に落ち着いた雰囲気だったので、すでに引退していると思っていたら、まだ現役!
 当時と全く印象が変わらないが、予選の前には、腕が落ちているのではないかと思っていた。ところがどうしてどうしてボールの威力は素晴らしい。後ろからカメラが撮る、ボールを投げる際の下半身の動きがセクシーである。
  アメリカのピッチャーたちは大女で迫力があったが、それぞれが巨体なので女を感じないし、怖い印象である。しかも、緊張からかみんな尖がった恐ろしい表情である。
  アメリカとの決勝戦は相変わらずのロースコア(2:0)だったので、終盤にドドドッと打たれて逆転されるのではないかとヒヤヒヤした。兎に角、上野さんの執念が通じてよかった。
  ソフトボールでは、1度引っ込んだ選手が再登場できるルールにも驚いたが、宇津木監督の粋な計らいで7回の勝利の瞬間を上野さんに任せたのは見ていてウルウルした。
  
  さて、侍ジャパンである。決勝も(2:0)のロースコア。女も男もロースコアだ。
  白状すれば、私はオリンピックで裏切られてばかりだったので、今回もひょっとして決勝でアメリカに負けるのではないかと心配していた。予選で勝ってしまったので、アメリカは決勝こそ仇を討つぞと身構えてくるはず、ポカスカとホームランを打たれるのではないかと心配していた。
  何しろアメリカの選手たちは、年齢不詳、髭もじゃの選手がいるし、みんな凄いスラッガーづらである。日本の選手たちが幼く見える。調子のよかった1番・山田哲人くんのニコニコ顔は駄菓子屋に群がる少年のように可愛いし、実際も最年少21歳の村上宗隆くんは、ホームランを打ってくれたが、童顔にもかかわらず188センチもある大男なのにテレビ画面ではそうは見えない。
  ピッチャーがよかったと言えばそれまでだが、なんで大事な決勝戦のピッチャーが2人とも(先発の森下暢仁くんと、抑えの栗林良吏くん)ペナントレースで低空飛行の、広島カープからなの?と私が不満顔をしたら、プロ野球マニアの出入りのお兄さんが、「そりゃ、あの2人の調子がよかったからですよ」とぴしゃりと言われてしまった。
  ハイ、わかりました。すみません(笑)。
  大好きな阪神タイガースの岩崎優くんも登板して、3人を完璧に抑えた。この人はいつもポーカーフェイスなのだが、さすがに今回の見事な中継ぎには嬉しそうな表情をした。
  東京で行われた最後のソフトボールと野球の試合、神様の思し召しのような両試合とも金メダル獲得で、嬉しいけど、マンガみたいな結果だった。
  他の競技は時々見たけれど、完全視聴はこの2つだけ。2つが2つとも決勝で勝ってくれて、監督やコーチや選手たちに感謝感謝である。
  暗いニュースばかりだったわが身辺も、久しぶりに明るくなった。万歳!
  おめでとう!選手のみなさん! (2021.8.10.)
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