「総選挙の投開票日に、生まれて初めて地方都市に滞在して、面白い発見があった。大阪梅田の変貌ぶりには驚いた」

 久しぶりに大阪へ行ってきた。
 京都までは、実家のお墓があるので定期的に行っているが、大阪は2021年以来、3年ぶりであった。昨年亡くなった次兄のお参りが目的の1つで、他にも2、3の所用があった。
 こともあろうに総選挙の投開票日の10月27日、当日である。
 東京駅の新幹線エリアは外人だらけ、特に目立ったのは白人の1家連れである。
 新幹線改札の中にテーブルを囲んだ1家がいて、恰幅がいい白髪金髪の紳士と、白髪金髪の短髪の妻らしき大女、日本人同様、甲斐甲斐しくコーヒーや他の飲み物を買ってきて、立ったり座ったりしているのはその妻らしき人である。
 あとの2人は娘らしい中年の女性とその連れ合い?
 白人社会でも娘婿は嫁の実家に付き合うのだろうか、と余計なことを考えた。
 他には東南アジアから来たらしい、チンプンカンプンの言語を話している1団、とにかく混んだところでブッとい太腿を投げ出して座っている若い女には目のやり場に困った。
 案外少ないのが黒人の人たちで、理由は何と関係があるのだろうか。
 白人が圧倒的に多い。
 選挙の当日だったが、筆者は既に1週間も前の20日に期前投票を済ませていたので投票日と忘れるぐらいであった。
 博多行きの10時12分発、のぞみ23号はほぼ満席。某シュウマイ屋の駅弁は不味い。
 新大阪からJR線で大阪駅に着く。通称梅田駅である。
 この大阪駅の中にあるホテルグランヴィア大阪に予約してあったので、チェックインには早すぎるが、午後の用事で出かけるので手荷物を預かってもらおうとホテルを探した。
 これがさっぱりわからない。
 で、何屋さんかわからないが、制服らしきものを着た男性にホテルグランヴィア大阪への行き方を尋ねたのである。
 「こう行って、こう曲がって、こうまっすぐ行くと着きますよ」とこともなげに教えてくれた。これがチョンボの始まりだった。
 言われた通りに歩いて出たところが、大阪駅西口とある。
 ホテルグランヴィア大阪なんか影も形もない。前に聳え立つビル、後ろが西口。
 午後2時に森ノ宮駅まで行かねばならないのに、どうすりゃいいのだ?
 制服の人に聞いたので間違っている筈はない。でも、変だ。
 歩き過ぎて疲労困憊、筆者は病み上がりなのだし、高齢者である。仕方なくホテルに電話をかけて尋ねた。西口は大間違いで、大通りを横断して・・・と歩いて来いと言う。クソ―。
 つまり、あの制服は別のホテルを筆者に教えてしまったのであった。
 また、大通りを渡って駅の人混みをかき分けて、着いたはいいが、ビックリ仰天!
 筆者は京都ではホテルグランヴィア京都が定宿だ。以前大阪のホテルグランヴィアに泊った時、古いホテルを買収して看板を掛け替えたような、くすんだホテルだったと記憶していたが、今回はとんでもなかった。ピカピカ超高層ビルの19階がフロントなのであった。
 午後の用事を森ノ宮で済ませて、韋駄天でホテルに戻り、5時から19階のレストランで知人たちと会食。お喋りの連れに引導を渡して慌てて部屋に戻った。
 何よりも選挙結果が早く知りたかった。
 NHKの開票速報スタートの午後7時55分には間に合わなかった。以後、ほぼ明け方まで開票速報のチェックで夜通しテレビ漬けである。
 筆者は昭和20年代から、根が生えたように東京住まいなので、開票速報を東京以外で見たことがない。今回は大阪にいて、地方での速報ぶりに興味津々であった。
 自宅にいると、東京のアナウンサーが全国各地域の速報を順繰りに伝える。何の痛痒もないのだが、今回大阪で見ていて、非常に違和感があったのである。
 それは、大阪は大阪の開票速報を伝えようとするが、全国中継も伝えなきゃならない。だから、東京発の放送を中継していて、変なところで突然切って、「大阪からお伝えします。大阪〇〇区の当選確実が出ました」とプッツン。お前、切り方が下手過ぎるだろ。
 わたしゃ東京の全中が見たいんだよ。(笑)。
 この「大阪からお伝えします」が、何と、ぜーんぶ、『日本維新の会』の候補者ばかリだったのである。
  まるで、マンガみたいに「維新」の連呼であった。
 しかし、19人、維新だらけの大阪は大阪だけの現象だったのだ。これもマンガみたいだったと言えなくもない。
 全国的には『日本維新の会』は公示前が小選挙区と比例代表合わせて当選者が43だったのに、今回の当選者は合計で37と激減したのである。
 ホテルの部屋で開票速報(大阪)を見ていた筆者は、
 「〇〇区、当選者が出ました。維新の〇〇さん」
 「〇〇区、当選者が出ました。維新の〇〇さん」
と、「維新」にあらずんば、人間にあらず、というような連呼連呼で、筆者は「へーえ」と驚いて、他の野党は全敗かあ、と早とちりしかねなかった。
 それほど、大阪で見た開票速報は『維新』ばかりだった。
 さすが、吉村洋文さんや橋下徹さんたちの牙城であるわい、と感心した。
 しかし、翌日の巨大活字の新聞の見出しを見れば、『自公過半数割れ』との報道だ。
 地方で見る開票速報は、東京のそれとは大違いだった。
 筆者が期前投票した東京〇区の候補者は、ダブルスコア以上で当選した。
 このサイトでは政治的な発言はしないと決めているので、選んだ候補者も政党名も書かないが、今回の総選挙は地方で見た開票速報と言う意味で、非常に印象深いものになった。
 投票率は低すぎたが。(2024.10.31)。
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