「毎回、欠かさず見たくなるNHK番組の筆頭は『未解決事件』であるが、ナレーターの和久田麻由子さん退局のネットニュースが気にかかる」

 21日放送の『未解決事件 File15』はまだ未視聴なので、最新作の『未解決事件 赤ちゃん取り違えの深層 File14』から取り上げる。
 67歳の江蔵智さんは22年前に、母親のチヨ子さん(92歳)が入院して血液検査をしたら、B型だった。父親はO型で、智さんはA型。
 つまり、O型とB型の両親からA型の智さんは生まれるはずがないので、そこで、智さんは自分が今の両親から生まれた子ではないと知った。
 生まれたのは都立墨田産院で、この病院は今はない。
 東京都は個人情報秘匿を盾にして調査に応じようとしなかった。
 そこで智さんは2021年に提訴した。
 2025年に判決が出て、裁判所は(親探し)を都に命じたのである。当然だ。
 何ともお気の毒な話である。
 チヨ子さんは介護施設に入っていて、ほとんど寝たきり。後に亡くなる。
 ご自身の希望なのか、智さんの職業は明かされないし、ご家族についてもチヨ子さん以外はさっぱりわからない。筆者は見ていてイライラした。
勿論、ご家庭もあるだろうし、お子様もいらっしゃるだろう。
この病院では、たった12人の看護師で物凄い数の赤ちゃんを扱っていた。
沐浴に運ぶときは10人位をびっしり並べて湯殿に運んだ。
生まれたての赤ちゃんは区別がつかないので、足の裏にお母さんの名前を書いたというが、今は1人1人別々に赤ちゃんを沐浴に連れてゆく。
江蔵さんが調査に「人間対人間」を望み、手書きの手紙を託したりしても、都の職員は問い合わせる相手側の人権(?)を盾にして、文書の問い合わせしか応じない。
お気の毒な江蔵さん。
回答が来た人たちの中には該当する人はいなかった。
間違えられた江蔵さんの本当のご両親は、67歳の彼の年から考えて90代ぐらいだから、早く見つけてあげないと、たとえ見つかっても亡くなっているかもしれない。
都の職員の、他人行儀で冷たい感じは見ていて腹が立った。
DNAなど、ちょろっとで調べられる時代だろうに、もどかしい話である。
その後の調査もまた報告してもらいたい。
 さて。
 『未解決事件』のシリーズで、興味深かったのは何本かある。
 丁度パリに行っていて、オペラ座から大通りを歩きだしたところで、足を止めた新聞スタントに、日本語新聞が売られていて、家族の写真が出ていた。
 思わず買ったところが、その写真は大晦日に惨殺された世田谷の宮沢さん一家であった。
 だから、この事件を扱った回も書けばいいのだが、怖くて取り上げるのはお許し願いたい。
 「世田谷一家・・・」と聞いただけで、パリで買った日本語新聞のページを思い出す。
 大晦日が来るたびに思い出して怖いのである。
 昨年放送だったが、筆者が同時代をよく表している作品だと評価したのは、前・後編で放送された『日本赤軍vs日本警察』である。
 今回、再度、見直してみて改めて感心した。
 1つには筆者が自分の目と耳で、報道のディテールをキャッチし、鮮明に記憶しているからである。例えば、 前編での語り部とでも言いたいような、当時、事件の最も高い地位にいらした警察庁長官・國松孝次さん。
 彼はオウム真理教の一味らしいヒットマンに撃たれて瀕死の重傷を負われた。
 だが、恢復されて、その後もマスメディアの会合によくいらしていた。
 筆者はあるテレビ関係のパーティで遭遇し、聡明そうな額(ひたい)を見て、「あ、國松さんだ。お元気なのね」と驚いたことがあった。
 國松さんは本富士警察署長であったが、警察庁長官に出世なさり、以後、日本赤軍と名乗る世界同時革命を標榜する超過激派と対峙することになった。
 後編のメインは、女性である。
前編で日本赤軍のトップにまで登り、それこそ、日本警察が中近東中を血眼で探し回った重信房子さんが、偽名で日本の空港を通り、最終的に大阪で逮捕される。
この時のニュースが報道された時に筆者は一種の感慨を持った。
「あの、重信房子がねえ」と。
しかし、すでに、重信房子という名前を知らない若者がごまんといて、あまり大騒ぎされなかったのだ。筆者は「へーえ」と思った、当時。
重信房子さんは20年の刑期を終えて、シャバに出てきた。
彼女に延々と日本赤軍の当時のことを語らせているのだ。やるのぉ、NHK。
超過激派の女ボスだった人が、驚くことに、眼鏡をかけた普通のオバサンになっている。
しかも、女闘士の面影はまるでなく、昔の女高師を出た家政科の先生風なのだ。
彼女は夜間に明治大学に通っていたそうだから、教養人なのだろう。
頭が良くて現状キャッチに長けていて、20年の刑務所暮らしの最中に、学習したのか。
テレビに映っていることの意味を把握して、最大限に「感じのいい人」を演じているように見えた、筆者には。
もう1つ面白かったのは、「赤軍ハンター」。
秘密の組織・調査官室というのを作った。
平沢勝栄さんがトップで、重信追跡のためにメンバーは6人。キャリアが3人、外国語のできるのが3人。平沢さんはベイルートにも行ったとか。
へーえ。日本人の99.99%は知らなかった、こんな組織。
わが青春時代と重なる。(2026.3.21)。
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