8月29日の午後4時頃から行われた「特別チーム」の会見を、筆者は4チャンネルの『情報ライブ ミヤネ屋』で見た。ぶっ続けで記者の質問開始頃までCMなしで中継した日本テレビはあっぱれである。翌日にも被害者の橋田康氏や弁護士の亀井正貴氏を出席させてこの問題を追った。 素朴な感想は、如何に有名企業のトップだった方とはいえ、何年も前に亡くなった人について、その下半身のことを公の場で長々と論じあげつらう体験は、かつてなかったことではないかと感心してしまったのである。 そもそも女には男の生理がよくわからない。 夫を含めて、過去に交渉のあった筆者の異性たちは、みんないわゆるノーマルなタイプの男性ばかりだったので、大人の男が孫のような少年たちをターゲットにして狙う異常嗜好の行動形態が理解できない。 大人の男がロリコン趣味で10代の女の子を犯す犯罪行為なら理解できるが、相手が少年?とハテナ・マークである。 告白した青年たちの具体的な内容では、ベッドの裾からジャニーさんは入ってきて、パンツの中に手を入れてきて下半身を触る、性器の周辺を触る、陰茎を握る、そのうち口でしゃぶる。 性交の何たるかも知らないウブな少年は、本人の意に反して射精してしまう。それをジャニーさんは口淫して飲み込んだり、吐き出したりしたそうだ。 物凄く素朴な疑問だが、ジャニーさん自身はこの時、性的興奮で発射したりしなかったのか。 ジャニーさんの異常行動の結果、性加害をさせた少年には1万円を与えたり、デビューをさせてやったりと、妙に対応が冷静なのである。つまり、自分の肉体が興奮はしないが、首から上だけでエクスタシーを感じる、本人自身の肉体は不感症だったのか。 全然わからない。 相手が少女だったら当然挿入して、妊娠させるかもしれず、これはよくある犯罪である。 ジャニーさんが生きていらしたら、相手が少年でも性加害当事者として逮捕されたのか? さっぱりわからない。 告白した中には、200回もやられた人がいるが、具体的な結果(妊娠など)はなくても、その少年の精神の深い所に抜きがたいダメージを与えているのは間違いないだろう。 さて、会見した人たちについての感想である。 たった3カ月で調べ上げた報告書は大したものである。 再発防止特別チーム座長の林眞琴さんは元検事総長だったそうだ。偉い方なのだ。 弁舌爽やかというタイプではないが、実に検事さんらしい、テコでも動かぬ極めつけの物言い。東大法学部卒。 もう1人の男性は飛鳥井望さん、精神科医である。美しいお名前だ。 口ひげを綺麗にそろえたイケメンのロマンスグレーで、東大医学部卒。 筆者が「うわぁ」と思ったのは、かの「理Ⅲ」合格の人物であるからだ。 「理Ⅲ」とは東大の入試における最難関コース(医学部)のことである。 理科Ⅰ類、理科Ⅱ類、理科Ⅲ類と分かれていて、理Ⅲの偏差値が最も高い。 文系は文Ⅰ、文Ⅱ、文Ⅲ。 筆者が受験したころは理Ⅰと理Ⅱ、文Ⅰと文Ⅱしかなかった。 理Ⅲはお医者様になりたい人が受けるのだが、めちゃくちゃ偏差値が高く、筆者は気〇〇〇集団と呼んでいる異様な秀才ばかりが集まるコースである。 ペーパーテストでミスを犯さず、満点に近い回答をする人物は、筆者は不気味である。 筆記試験の天才が果たして全人格的に優秀かと言えば、一概にそうとは言えまい。それが証拠に偏差値だけは高くて、オカシイ人もいっぱいいる。 一度どこかに書いた気がするが、子供の頃、虫を捕まえては手足をもぎ取り、まるで神戸のサカキバラ君のような解剖が趣味の少年が、長じて理Ⅲに合格したと聞いてから、筆者は東大病院には行かない。 断っておくが、飛鳥井望さんにケチをつけているのではない。 彼のような立派なイケメン先生も沢山いらっしゃるとは思う。 しかし、敢えて言いたいが、お医者様の養成学部ならば、ペーパーテストだけではない人間学とでも表現したい全人格的な選抜は出来ないものであろうか。 さて、話が逸れた。あと1人は臨床心理士の齋藤梓さん。上智大学卒。3人3様に優秀な方たちであろう。67ページもの報告書は凄い。 だが、3人はジャニーズ事務所からの依頼であって、ギャラもそこから払われると聞いていささか疑問に思っている。ちょっとヘンでしょ。 被害者に対する謝罪と救済とか、社長への辞任要求とか、マスメディアの無関心批判とか、大手メディアに書かれていることはここではもうパスする。 筆者は日本のエンタメ界の幼稚さに言及しておきたい。 確かに慧眼のジャニーさんが選んだ少年たちは、見目麗しく人気者になる才能も持っているけれど、歌はほとんどユニゾンばかリで、複雑なハモリは出来ない。ダンスもそこそこ。 厳しい客の目と、プロによるシビアなオーディションを経なければ表に出られない、アメリカのエンタメ界に比べれば、素人に毛が生えたレベルで、いきなり人気者になれる業界こそが、この会社の権力者を此処まで勝手気ままな性加害者としてのさばらせた遠因ではないか。ニッポン全体がアマチュアもどきである。 アスリートに比べれば、芸能世界は甘すぎていい加減。会社の再生には、「本物の芸能人」を情実ではなく育てる方にエネルギーを向けるべきである。(2023.8.30.)。 (無断転載禁止)