「【動】を取り戻した大河ドラマ、『豊臣兄弟!』の第1回を見た。なんとよく似た2人だこと、池松壮亮と仲野太賀くんたち」

 マンガや劇画ぎらいの筆者にとって、今年の大河ドラマは開口一番、ぎょっとなった。
 何故なら、いきなり薄汚い猿のマンガが出てきたからである。
 織田信長から藤吉郎が、「サル、さる」と呼ばれていたのは本で読んで知っていたが、まさか、不細工な猿のマンガが天下のNHKの看板番組に登場するとは思わなかった。
 ははあ、漫画がなくては夜も日もあけぬ若者に媚びたナ。
 最初のツカミであるナ。
 高齢者はびっくりする。
 品のいいNHKの歴史ドラマのファーストシーンに、こんな出だしは初めてではないか。
 まあ、どうでもいいけど。
 いつもいつも、大河ドラマで楽しみにしている劇伴音楽が今回は平凡だったのでがっくりしたが、最後の方で盛り上がってスケールが大きくなったので、よかった。
 水飲み百姓と見下げられた貧しい農民たちが働いている。
這いつくばるようにして田圃を耕し、薄汚れた着物姿で見るからに貧しそうだ。
その中に主人公もいる。
年貢を納める平民たちの中から、主人公の小一郎(仲野太賀)が登場する。
農家の働き手である。
 そこへ長い間、音信不通だった兄の藤吉郎(池松壮亮)が、織田信長の家臣として部下も従えていると、いささかエラソーな兄貴面で現れる。
 盗賊らしき薄汚い一団に襲われたり、金を稼ぐために土方仕事に汗を流したり、この調子でえんえんと、畑に這いつくばる場面が続くのかとウンザリしていたら。
 観客の飽きっぽさをご承知の脚本家は策を弄する。
 土方仕事に紛れて、御大の信長様が頬かむりをして一緒に働いているのだ。
 ははん、視聴者が飽きる前に考えておるな、と感心する。
 筆者も続けて見る気になる。
 次の場面では、信長様は凛々しい馬上姿で現れる。『鎌倉殿の13人』では悲劇的だった小栗旬さんである。
 あ、今回だって本能寺で焼け死ぬのだから、やっぱり、悲劇の役柄だが、小栗さんはカッコイイ。「間者の1族は皆殺しにしろ」のセリフは怖いが。
 それより、斎藤義龍に扮しているDAIGO君に驚いた。鼻がめちゃ高くて外人顔である。
 かの有名な斎藤道三の嫡子であるが、何で外人顔のDAIGOさんなのかね。
 さて、いよいよ主人公たちについて語るとせねばなるまい。
 仲野太賀さんと池松壮亮さんは背格好も同じくらいで、笑い顔がそっくりである。
 ちょこまかと小柄で、貧しい食事で体格が大きくならなかったと、暗に示唆しているような2人である。
 後の豊臣秀長(今は小一郎・仲野太賀)は、秀吉(今は藤吉郎・池松壮亮)が、『本能寺の変』で高松城から取って返した時から、わずか9年後の1591年に亡くなってしまった。
 実に誠実なお兄さんの補佐役だったのに、秀長がいなくなってしまったために、天下人たる秀吉の最高の補佐役が欠けてしまった。
 歴史学者の先生方が一様におっしゃるのは、秀長がもっと長生きしていれば、豊臣家は滅亡しなかったそうである。
 そういうことを知っている筆者は、仲野太賀くんが演じる、人の良さそうな小一郎が、
ちょこまかとお兄ちゃんに付いて行っている第1回でも、何となく先を案じてしまうのだ。
 仲野太賀くんも今は明るくていい。
 大河ドラマの主役と言えば、例年、美男子のスターが演じてきた。
 2025年の横浜流星くんのように、『べらぼう』の成功男や『国宝』の歌舞伎美女など、タテヨコ斜め、賞賛される美男子役青年ばかりだけれど、はっきり言って仲野太賀さんは普通のお顔である。
 だから、成り上がる秀吉の弟役としてはリアリティがある。楽しみである。

 筆者は演歌やはやり歌のたぐいは余り好きではないので、大宣伝の『NHK紅白歌合戦』もあまり見ないのだが、この年越しはホテル泊だったのでチャンネルを合わせて見た。
 何が驚いたと言って、全く知らないグループばかりで実につまらなかった。
 若いお嬢ちゃん坊ちゃんたちのダンスまみれで、これじゃあ『NHK紅白ダンス合戦』と改名なさいませ。少なくとも『歌合戦』ではない。
 それに進行がド素人。
 たまたま見た時に、何度も司会の3人(女性・男性・女性)が、言い淀んでモジモジしていたり、「次は」と言って歌が出なかったりして、下手くそ!!!
 来年からはやっぱり見るのをよそうと思った。

 口直しに深夜の11時半からテレビ東京で生中継した、『ジルベスターコンサート』を聴いたのである。
 オケは東京フィルハーモニー交響楽団(指揮・沖澤のどか)、友人のヴァイオリニスト・大谷康子、ピアノ・亀井聖矢、チェロ・水野優也。司会はなんと、ゴローちゃんの稲垣吾郎。
 カウントダウン曲は生誕150年のラヴェルの『ボレロ』だった。
 これが見事に12時ピッタリに「ガシャーン」と合ったのである。
 例年このテレビ東京肝いりコンサートは聴いている。
 いつか、会場に行って生で聴きたいのだが、さっぱり呼んでくれない。
 お正月前後の3番組。みんなそれぞれお疲れ様。
 さて、2026年のテレビ界はいかがであろうか? (2026.1.10.)。
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