「2位も危なくなってきた、わが阪神タイガースに『喝』だ!」

 10月9日に阪神タイガースの揚塩健治球団社長が事務所に出てきて、今季限りで引退すると表明した。新型コロナウイルスの感染者が続いたことの責任を取って、引責辞任するというのが理由である。
 3月26日に最初の感染者が判明したのち、9月19日以降、ベテランの福留さんから始まって、中継ぎ投手の岩崎さん、岩貞さんら主要な1軍選手やチームスタッフたちの会食がばれた。27日には感染者10人の出場選手登録を抹消して、9人が出場停止処分。
 10月に入って球団が130人のPCR検査をして、やっと陰性が判明したという。
 道理で、勝っていた試合を、終盤になってひっくり返されるみっともない負け試合が続いたわけだ。岩・岩コンビがいないのだから勝つわけない。
 最も腹が立ったのは10月4日(日)の対巨人戦である。
 こちらの先発投手は既に6勝もしている秋山拓己くんである。3回の裏、2対0でリードされていたが、絶好のチャンスが来た。
 2番の北条くんが2ベースヒット。
 3番の糸井さんがフォアボールを選んで無死1、2塁。
 4番のサンズもまたフォアボールで、無死満塁の大チャンスがきたのだ。相手がくれたビッグチャンスだから、こういう時こそ何が何でもモノにしなければならない。これが鉄則。
 続く5番の大山悠輔くんはホームランダービーを岡本君と争っている長距離砲。でも、私は高望みをしないように祈って、せめて外野フライを打ってくれと思っていた。
 カウントは3ボール2ストライクのフルカウント。大チャンスだ!
 結果は、外野フライどころか4ボールで押し出しの1点が転がり込んできた。しかもまだ無死満塁である。常識的に考えて、後2、3点は入ると思うでしょ。
 ところが、次のボーアが3振して1死満塁。
 次の次の原口くんはファウルフライで2死満塁。
 挙句の果てに小幡くんも倒れて、結局、無死満塁で、クリーンナップの絶好の機会に、押し出しの1点だけしか取れなかったのである。これじゃ流れは向こうに行っちゃうわな。
 案の定、この試合は7回と9回に合計5点も巨人に入れられて、7対1で阪神は完敗したのである。
 大山くんが押し出しで点を取った後、ボーアだから打たせるだろうとの大向こうの裏をかいて、スクイズさせればよかったのだ。大男総身に知恵が回りかね、で、バントが下手くそだとしても、無死満塁では相手チームも浮足立っているのである。
 球を地べたに転がせりゃ、何が起こるかわからないし、エラーだって誘発する。
 杓子定規に打たせて3振した矢野監督の采配はペケのペケのぺケだぁーーー。
 高校野球じゃあるまいし。
 この後ばかりでなく、2、3度1死満塁の好機を失っている。 
 10月10日のDeNA対阪神戦でも、呆れたことがあった。
 よりによって甲子園での試合の2回裏、先頭バッターは小幡くんでフォアボール、続くのはピッチャーのガンケル。彼は勝ち星に恵まれない不運投手だが、この時は痛くないデッドボールで出て、無死1、2塁。
 続くチカちゃん近本光司くんはまたまたフォアボールで、無死満塁の大チャンス!
 この回も相手が熨斗をつけてくれた無死満塁だったのに、指揮官の無為無策のために、北條くんはPゴロで糸井さんは3振、大山くんも見逃し3振のタコタコタコ(笑)。
 折角の大チャンスをフイにして、流れはさっさと相手に行っちゃった。結局、5対3で負けてしまい、またまたガンケル君に勝ちはつかなかった。
 ホント、ワンパターンの采配で呆れてものが言えない。
 矢野監督はキャッチャー出身、なんでもっと意外性のある作戦を取れないのかと不思議でしょうがない。クリーンナップだからって平凡に打たせて、毎度毎度無死満塁を失敗して無得点に終わらせるなんて、バカか。
 10月8日の広島戦でのサンズとボーアのアベックアーチの時のように、2外人が揃って調子がいいことなど、何時も望めることではない。この日は広島にめっぽう強いエースの西勇輝くんが、素晴らしいピッチングを続けていたから、女神さまが阪神に微笑みっぱなしだったのだ。だから、6回表の安打・安打・安打・安打・安打・安打・3振・安打・安打という、奇跡みたいな攻撃で一挙に6点が取れたのである。
 試合後のコメントでも、矢野燿大監督の談話は暗くて意外性がない。真面目なお人柄なのだろうが、面白みに欠けるところが試合の采配にも出る。
 私はジャイアンツ嫌いであるが、近頃、認めざるを得ないのは、巨人の選手たちは采配もそうであるが、1人1人のメンバーが、よく考えていて、よく打つ。それに原監督は明るい上に意外性がある。
 ずっと前、あるビッグな試合の時に、チャンスでバッターボックスの中に入ろうとする打者を原監督が呼んで、肩を抱き、耳打ちした。見ている当方は、どんな秘策を授けたのかと疑心暗鬼になる。ただのスクイズだったのだが、あのビヘイビアすべてが相手を欺くパフォーマンスになっていた。もっさりして真面目人間の矢野さんは、そういうパフォーマンスは出来ない。
 別にスタンドプレーをする必要はないが、セオリー通りの打つだけ、バントするだけ、ではなくて、予想外の作戦で相手を慌てさせてもほしいのだ。
 近本さんが、3塁に向けてのバントヒットで2回も内野安打を成功させたように、監督が指示しなくても、どんどんベンチ作戦を蹴飛ばしてヒットを打ってもらいたい。
 それにしても、サンズ君とボーア君、怪我で随分休んだマルテ君、いい加減、阪神タイガースのために目を覚ましてくれないかい。
 巨人の優勝は確定的だが、今のままでは阪神タイガースの2位は不当表示のような試合も多い。早くスカーツとした虎の咆哮を聞かせておくれ。(2020.10.11)

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