過日、片道2時間30分かけて『横浜みなとみらいホール 大ホール』で開催されたコンサートを聴きに行って、情けない思いで帰宅した。
演目は『フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮』と、ピアニスト、藤田真央さんとの協演である。
人気の真央ちゃんがソリストだというので、会場はほぼ満席。
1階2階は言うに及ばず、目の前にシャンデリアがぶら下がっている3階席まで一杯だ。
筆者は3万円以上もするお高い席をわざと買わなかった。
そうでなくても近頃、やたらにイベント・チケットを買ってくれとしつこくメールが来る。
秋にはサントリーホールの40周年とかで、48,000円の席の案内が来た。
しかも、記念イヴェントだからって、「正装して来い」だって。
誰が行くか!
テレビで見ますよ、内田光子さん。
こんなのを嬉しがって買うのは、クラシック音楽の「クの字」も知らないミーハーに決まっている。
さて、えんえんと特急に乗って、横浜のみなとみらい駅に着いた。
休日とあって、例の長いエスカレーターも人でいっぱい、アベックだらけ。
突き当りの大ホールまで歩く間に、よくここで出会った友人を思い出した。
彼女は音楽好きで、遠く埼玉県の方から来ていた。
数年前にガンで亡くなった。
みなとみらいに来るたびに、おおよそガン患者に見えない、豪快なおばちゃん友人の姿を思い出して悲しくなる。
人の運命はわからない。
ホールの入り口でチケットを提示し、3階に行けと言われる。
エスカレーターで1階から2階へ上がったはいいが、はて、2階から3階に登るエスカレーターがないのだ!
ホールの案内嬢が「後は階段です」だって。
勿論エレベーターはあるのだが、行列に恐れをなしてエスカレーターで上がってきたのに、一番疲れる3階に行こうとしたら「エスカレーター、ナシ」だと。
つまり、3階は場末だから、普段使ってないということか。
安い料金の客なんか、自分の脚で登れってか?
嫌なホールだ!
それだけではなかった。
筆者の席はステージに向かって3階の左の方。
3階の8人ほどが座れる一塊の座席を過ぎる度に、深くてデッカイ階段があり、それをいちいち「えっこらさ」と降りるのである。傾斜になっているからである。
筆者は小柄な上に、一昨年の大怪我以来、再び転倒するのが怖くて、手摺をもってオズオズと階段を下りるのだ。
横浜くんだりまで来て、思いっきりバカにされた心境である。
筆者がよく行く東京芸術劇場、オペラシティ大ホール、東京文化会館、サントリーホールなどなどで、席に着く前に、腹が立つホールなんぞ、全くない。
さすがに横浜は場末だ。
70年も経ったのであるから、黒岩さん、もう、お建て替えになったら?
席に座ってからが、また、腹立ちまみれ。
ステージの、正面から見て、右の方、3分の1ぐらいしか自分の席からは見えないのだ。
これで、筆者は入場料を9,000円も支払っている。
9,000円というと、普通のコンサートのS席の値段である。
こんなにステージが全く見えない席は、「お詫び値引き」をなさいませ。
席はチケットの売り主が、勝手に押し付けてきたものだから、筆者が指定も選びもしていない。ソリストの姿も、もちろん指先も、終始一貫見えなかった。
筆者は歌舞伎座にもよく行くが、お芝居で見えないのと違い、クラシック・コンサートは音が聞こえたら筆者は我慢できるから、下から登ってくる音を、目をつぶって聴いてきた。
ただし、このホールには2度と行かない!!!
前半は『クロード・ドビュッシーの牧神の午後への前奏曲』
『セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番二短調 Op.30』
後半は『クロード・ドビュッシーの交響詩 海』
『モーリス・ラヴェル ラ・ヴァルス』
という演目であった。
筆者の偏見であるが、昔々、ヨーロッパによく行っていたころ、パリで聴いた現地のオーケストラは余り上手くなかったが、この日のフランス放送フィルハーモニー管は素晴らしかった。見違えるような緻密な演奏を聴かせてくれた。パチパチ。
ラフマニノフ作曲の『ピアノ協奏曲 第3番 二短調 Op.30』を弾いた藤田真央さんも凄いテクニックと美しい音色で、素晴らしかった。
今は亡きピアニストの中村紘子さんが、「この曲はオタマジャクシが20,000個もあるのよ」と言っていた難曲である。
反田恭平くんが、日本音楽コンクールで1位になった時、筆者は彼の頭の真上で聴いたのだが、今回も真央ちゃんの姿は見えない3階席の頭の上で、音だけ聴いた。トホホ(笑)。
まともな正面で聴きたいものである。
重ねて言う。「黒岩さん、みなとみらい大(ボロ)ホールは、早急にお建て替えあそばせ」。何が、みなとみらい、だ。みなと過去、だ。(2026.5.31)
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