「ひょっとしたらひょっとするぞ、今年の阪神タイガース」

 5月2日の阪神対広島の第7回戦。ド派手な試合になった。3:1で広島にリードされていた5回の裏、ノーアウト満塁の絶好機に、ルーキーの佐藤輝明くんが満塁ホームランを打って一気に逆転したのだ。
 この日、私は相手のピッチャーがエース級の野村祐輔投手だったし、こっちのタイガースは「えっ? 4番の大山悠輔(あれれ、この人もユウスケだ)がいない、怪我でもした?」と疑問符だらけだったので、「負けそー」と心配しながら見ていた。
 しかも、今年4連勝のガンケル君が何となく調子が悪い。3回、4回、5回と1点ずつ取られ、顔色も冴えない。
 第1打席で3振した22歳の佐藤くんは、いくらなんでも、いきなり4番バッターは荷が重いと心配だったし。
 2位の巨人と3ゲーム差をつけている余裕か、大山くんが怪我ではなく、休養らしいと分かったので、負けてもいいや、という采配なのかと理解し、それでも心配でオズオズと観戦していた。
 テレビ的にも無観客試合はつまらない。
 音楽や太鼓の音がするのはスピーカーで流しているのか。
 佐藤くんは第2打席でも凡退した。そこへ、この第3打席の無死満塁である。
 カウントは2:2と追い込まれた。全く打てそうな気がしなかった。「きっとまた3振だろう」と、私は仕事のパソコンに向き直り、「精々、ダブルプレーにはならないでね」と念じながら音だけ聞いていた。
 そうしたら、なんとなく、観客がいないのに「ワーワー」と歓声がする。右翼線のポール近くの中段に佐藤くんの球が飛び込んだ時の歓声だった。
 パソコンに向いたために、その瞬間を見そびれた佐藤弾の瞬間が再生された。
 何が驚いたと言って、あの球は精々が3振である。
 真ん中低めのチェンジアップで、佐藤くんもバットで球を掬い上げるように泳いで打っている。あれでスタンドまで届くのだから、腕力が強いのだ。ホントに呆れた。
 佐藤くんについては一言いわせてもらいたい。彼がオープン戦の時からホームランを打ちまくって注目されていたが、スポーツ紙の方々の佐藤評は、大抵が素晴らしい遠くに飛ばす大砲ぶりについてである。しかし、女の私から見ると、ちょっと違うのだ。
 彼の全身が22歳の青年のそれではなくて、30歳ぐらいの妻子持ち(?)のガタイに見える。成熟した男の身体である。大谷翔平くんは26歳で、佐藤くんより4歳も年上だけれど、身長は高いが佐藤くんのような成熟した男の身体に見えない。私の個人的な感覚であるが。
 体と同時に精神的にも彼は年よりも成熟しているのではないだろうか。
 ドラフト会議で、矢野さんはよくぞ佐藤くんを引き当ててくれた。
 試合は7:3で阪神タイガースの快勝、4番の佐藤くんは5打点だった。満点!
  さて、これからは言いたい放題である。
 先日、3連敗した時には、「ああ、やっぱり、本性を現したぞ」と思った。過去に10何連敗も珍しくはなくて、虎フアンの夢も希望も踏みにじりまくってくれた阪神タイガースには、眉に何回ツバをつけても安心できない。
 しかし、今年は何か違うものを感じてもいる。
 4番の大山くんが打つ。5月2日現在の数字で、3割打っている。とても去年までの貧打のタイガースの4番とは思えない。それの第1要因はもちろん佐藤くんの加入だ。
 彼が6番に入ったために、前の方の打者の気分が楽になった。
 驚くことに、「あの貧打だったタイガース」から、5月2日現在で、ベストテンに3人も入っているのだ。
 打撃ベスト10の内、2番に糸原くん.339、6番に大山くん.300、9番にマルテ.289。
 本当に信じられない。
 打撃10傑を6チームで分けたら、精々が2人だろう。現在、広島、ヤクルトが2人ずつで中日、巨人、DeNAがそれぞれ1人しか入っていない。巨人は丸ちゃんのようにコロナの陽性で戦列を離れていた選手がいるから、強打者が少ないのだ。
 暫く眠っていてちょうだい(笑)。
 次に、阪神タイガースのピッチャーについて。西勇輝くんは、現在2勝2敗。それも味方が打てなくて少数失点で負けているから不運である。
 オイこら!
 若い藤波晋太郎君が今年はいいかと思ったら、相変わらずの制球難で、また、下におっこっちゃった。なんであんなに背が高くて若くて素質に恵まれている青年が、何時まで経ってもダメなのは、頭が悪いからか? それとも指導者がポンカスなのか?
 いい加減で立ち直れ。
 抑えの方の、岩崎、岩貞(ちょっと打たれた)、スアレス君たちは完璧。
 この前、台湾から来た日本語ペラペラの元中日、チェン・ウェインさんが見事なピッチングを見せた。ちょっとこのところ負けが続いているサブマリンの青柳くんや男臭い秋山拓己くんらも、あまり心配はしていない。
 何より、今年は2番の糸原健斗くんが絶好調。
 ひょっとすると、今年は優勝するかもしれないと期待しているが、こればかりは水もの。
 何時、絶不調が訪れるか知れない。チカちゃん、近本光司くんの不振だった出足も、徐々に上がってきているので、このままの調子が続くことを祈っている。
 優勝チームとしての資質を備えるためには、エラーをもっと減らすべし。
 先日の佐藤くんの後逸はすぐ取り返したが、そもそもエラーをしないようにやれ!
 おーい、全国の阪神タイガースフアン。今年こそは優勝させよう。
 でもなあ、東京の某虎フアンのアジトが閉鎖したらしいし、関東ではさっぱり応援の溜まり場がない。誰か教えて。(2021.5.3)
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