「4月から始まった連続ドラマ2題。『らんまん』と『風間公親―教場0―』」

 NHK連続テレビ小説『らんまん』は、今週から東京編が始まっている。
 前回の『舞いあがれ!』が後半になってサッパリつまらなくなったので、挫折して、時々しか見なくなったので、新品(笑)に代わってくれて助かった。
 前作の後半は「『舞いあがれ!』変じて『舞いさがれ!』だ」と、私はブツブツ文句を言っていた。
 五島列島なんか、必然性もないおばあちゃんの住居を出してきて、「ははあ、九州地方の観光案内リクエストに答えたんだナ」と私はゲンナリしていたのだ。
 『らんまん』が始まって楽しくなった(脚本・長田育恵)。
 1月に大怪我をして長期入院していた自分の身体が、次第に元気になってきたのと時期を同じくしている所為でもある。
 『らんまん』の、先週までの高知編はそこそこ面白かった。
 子役がどれも達者で可愛らしく、脚本のテンポも良かった。
 特に、主人公の槙野万太郎(子役)が6歳の時に病死した母親の槙野ヒサ(広末涼子)が、病がちの<美人薄命>を絵に描いたような人物で、儚げで美しかった。但し、重病で臥せっているのに、バッチリ厚化粧しているのには笑ってしまったが。
 演じる広末涼子さんはネイティブ高知育ちなので、高知弁のイントネーションが完璧で安心して見られた。
 槙野万太郎は老舗の造り酒屋のたった1人の男の子。彼もすぐ熱を出すいじめられっ子であるが、大店(おおだな)の跡取り息子なので、使用人たちに「若」とかしずかれている。
 だが、万太郎は小さい時から、稼業よりも何故か草木や野の花に関心があり、酒造「峰屋」の当主であるにもかかわらず、さっぱり酒造りには関心が湧かなかった。
 夫と息子に先立たれて、「峰屋」を背負っているのは祖母の槙野タキ(松坂慶子)で、タキは事あるごとに万太郎に唯一の当主であることを自覚しろと教育する。
 万太郎に教育をつけさせようとして、池田蘭光(寺脇康文)が学頭の学問所「名教館」に通わせるが、その後、時代が代わって小学校が全国に作られ、学問所は閉鎖される。
 番頭の息子の竹雄は万太郎のお目付け役になり、野っぱらを駆け回る万太郎を追って、子供の時から一緒に育った。
 万太郎(神木隆之介)が18歳になった時、東京で博覧会が開催され、峰屋の酒も出品することになる。念願の東京行きが実現する。
 東京の有名な植物学者に小さい時から憧れていた万太郎は、竹雄(志尊淳)と2人で上京するのだが、当時の高知から東京までの道のりが面白い。
 蒸気船に乗ったり、歩いたり、鉄道に乗ったり、さまざまな交通機関を乗り継ぎ乗り換え、1度聞いただけでは覚えられないややこしさ!
 明治生まれの私の母が東京から香川県に行った時に、3日かかったと言っていたから、もっと前の、高知→東京は随分かかったであろう。
 さて、東京で万太郎は憧れの植物学者・野田基善(田辺誠一)や里中芳生(いとうせいこう)と知己を得る上に、一目ぼれで後の連れ合い、西村寿惠子(浜辺美波)とも出会う。
 寿惠子は元芸者で今は和菓子屋を経営する西村まつ(牧瀬里穂)の娘だった。
 万太郎の姉の綾(佐久間由衣)は女禁制の酒蔵に入ってしまうほど、稼業に興味がある女性で、植物に魂を取られてしまう万太郎の代わりに酒蔵を継ぐのか?
 地獄耳ニュースでは、後に植物学者・万太郎は貧乏暮らしで、生家の「峰屋」も没落して苦労するらしい。モデルである牧野富太郎博士の伝記で知ったのである。
 主演の神木隆之介は美男子でもなく背も高くなく、ヘラヘラ笑っている平凡な青年というイメージだが、植物に凝りに凝る役には向いているかもしれない。
 驚くことに牧野富太郎博士は小学校中退なのに、後に東大で教鞭もとり、文化勲章まで死後に追贈された。それだけの功績のあった人であるが、長閑な時代だったという事だろう。
 私は虫嫌い。万太郎が興味を抱くのが植物でよかった。
 
  さて、今期、もう1本の期待作は月9の『風間公親-教場0-』(フジテレビ)である。
 木村拓哉さんが白髪交じりで主演する例の刑事ドラマだ。
 2020年と2021年に単発ドラマとして鮮烈な印象を与えた警察学校の教官・風間公親が、今回は警察学校の教官になる前に、新人刑事を導く刑事指導官として働いていた時代を描く作品である。
 相変わらず風間はニコリともせずにおっかない。
 拓哉くんのフアンなら「キャー」と言いそうな「怖カッコイイ」公親である。
 第1回はあまり面白くなかったが、今週放送された第2回はまあまあであった。
 風間が指導する新人刑事は瓜原潤史(赤楚衛二)、ある小学校の女性教師が遺体となって発見される。遺体の後頭部には血痕があり、校庭に設置されているブロンズ像の先にも血痕が付いていた。
 2人は保護者を尋ねてまわり、ある不登校の息子を持つ母親(宮澤エマ)が疑われるが、彼女にはアリバイがあった。
 これから見る人のために筋書きはここでやめる。
 近頃、やたらにいい役が付く赤楚衛二くんが、むつっとした新人刑事でここでも大活躍。 
 木村くんは色浅黒く白髪交じりで眼鏡をかけた、いかにもなハードボイルド風であるが、この人、年齢と共に色気が増した。
 娘2人がデビューしたために、私生活丸見えで、いいお父さん像が神秘性を失わせてしまったが、反面、50歳を前にして居直ったのか、中年男性のよさも増して、タレントならぬ俳優と呼びたい雰囲気がある。
 年齢と共に変化する難しさを、今のところ上手く乗り越えつつあるようにみえる。やっぱり美男である。(2023.4.20.)。

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